最近、推理小説を読むことが趣味になっています。
もともと推理ものの小説やドラマは好きなのですが、最近は触れる機会がなく、小説を読むことも、ドラマを観ることもなくなっていました。
そんなある日、タイトルに挙げた「体育館の殺人」という小説の電子版に触れる機会があり、読んでみることに。読み始めると「これはおもしろい!」と夢中になってしまいました。
そんなわけで、このところ、推理小説を読み漁っています。イマドキは図書館のオンラインサービスで書籍を検索して予約し、最寄りの図書館で受け取るということができるようになっているので、便利になりました。
さて、タイトルにある「体育館の殺人」。青崎有吾の作品で、「館」シリーズ(館以外が舞台になることもあるので正確には探偵役の名前から「裏染シリーズ」と呼ぶべきか)の一作目です。
ネタバレになりかねないので、基本的に、内容には触れず、どのような雰囲気の小説なのか、という観点で紹介していきたいと思います。はたして、そのような書き方で作品の魅力が伝わるのか疑問ではありますが…。
タイトルにある通り、高校の体育館で殺人が起こり、それを探偵役の裏染天馬が華麗に解決する、という話です。
精緻で破綻のない推理が展開されるのですが、文体は軽く、ライトノベルを読んでいるような感覚になります。登場人物の掛け合いも楽しく、推理を抜きにしても楽しめる作品です。
奇想天外なトリックは使われません。大したことをやっているわけではありません。しかし、トリックを見破るのは困難です。最後に事件の全貌が明らかになるまでは、いったいどうやって犯行を実現したのか? と頭を傾げるばかりでした。しかし最後には、以前に流行った(?)アハ体験の論理的思考版を受けたような気持ちになりました。
この小説は、事件発生・推理パートと、解決編パートに分かれていますが、解決編で示される未知の事実はありません。つまり、解決編が始まるまでの情報だけを使って、推理が完結するということです。読んでいて理不尽を感じるような展開はありません。この小説における謎解きは二重構造になっているのですが、そのどちらに関しても、解決編以前に示された情報だけを使って導くことができるようになっています。よく練られていると思いました。
事実を積み重ねて推理を進めていくのが好きな人ならば、十分に満足できる推理小説だと思います。ライトノベルが好きならば、なお気に入るはずです。