huluにて実写ドラマ化される、と話題になったミステリー小説です。(Netflixではありませんでした。2024年3月から配信されているようです。)
「映像化は絶対無理」という評価にもかかわらず実写化された、ということで、原作も注目されているようです。20年近く前の作品にもかかわらず、図書館のオンラインサービスで調べると、小説の貸出待ち人数が100人以上になっていました。これから予約したら、一体いつ読めるのだろうか…?
ネタバレになりかねないので、内容については迂闊なことを書けないのですが、楽しみを損ねないだろうと思われる範囲で書くと、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に似たような状況で、次々と登場人物が死亡していくという話です。物語がどのような結末を迎えるのかは、ぜひ作品を読んで確認してください。
軽い文体ではありませんが、文学的な表現や、難しい言葉などは使わずに書かれており、とても読みやすいと感じました。館が舞台だからか、見取図も掲載されており、どこで何が起こっているのか、理解しやすかったです。登場人物が殺人現場の状況から推理を展開するという場面があるのですが、現場の様子が模式図で示されており(登場人物が書いたメモという形で紹介される)、分かりやすいと感じました。
登場人物に着目すると、いまひとつキャラクター性を感じることができず、人間ドラマとしての側面は弱いように思います。ただ、余計なことを考える必要なく、謎解きに集中できるので、小説の魅力を損なうようなものではありません。登場人物の人物像については、コミック版を読むとイメージしやすいかもしれません。マガポケ(講談社のウェブコミックサイト)で読むことができます。ただし、コミック版はイラストレーターでもある清原紘が作画をしており、登場人物全員が超絶美形になっているので、要注意です(何に注意するのでしょうか…)。
書評では「一行でひっくり返る」とされているのですが、恥ずかしながら,私は気づきませんでした。ひっくり返る気分を味わうためには、一定の基礎知識が必要となるようです。もっとも、解決パートにおいて、何がひっくり返ったのか丁寧に説明されるので、気付かなくても大きな問題はありません。