館シリーズ第8弾です。
今作は趣向が変わり、挿絵が随所に設けられたり、少年が主人公だったり、子供向けミステリー小説のような体裁になっています。
まあ、それは表面上のことで、一皮剥くと、お得意の叙述トリックを用いた推理ものになっており、また、ホラー的な要素も色濃く、子供が読んだらトラウマになってしまうのではないかと思えるような小説なのですけれども。
「暗黒館の殺人」に近い雰囲気を感じます。犯人とその動機が分かった後に振り返ると、表向きは切なく、そして裏を考えるとオカルト的なものになっており、物語の構成の巧さが感じられます。そして、ラストシーンには余韻の残る恐ろしさを感じました。
詳しく書けないのが、もどかしい!
ほどほどに短く、他の作品との関連性が薄いので、この作品だけを読んでも十分に楽しめると思います。むしろ、この作品はかなり異色だと思うので(「人形館の殺人」ほどではありませんが)、一緒にしないほうが良いのかもしれません。