弁護士をやっていると,暴力団の方々と関わることがあります。
 民事では,ほとんどの場合,相手方として出てきます。対立する関係にあるので,それほど悩むことはありません。
 ところが刑事では,ほとんどの場合,被疑者被告人として出てきます。こちらは弁護しなければならず,近い関係にあるので,いろいろと悩むことが出てきます。

 暴力団員の弁護をすることは,一般市民の方々の視点からすると,暴力団の味方をしているのではないか,お金目当ての悪徳弁護士なんじゃないか,と考えるかもしれません。
 たしかに,そのような弁護士もいるかもしれません。
 しかし,暴力団員といっても,日本国民の一人なので,適正な裁判を受ける権利があります。これを否定することは,いまの憲法上,不可能です。
 弁護人(刑事事件で被告人の弁護をしている弁護士)の役割は,被疑者被告人の罪を軽くすることではありません。行われた犯罪事実に対して,適正な刑罰を科すことです。暴力団員だから好きに刑罰を重くできる,ということはありません。

 暴力団の存在を保護し,活動を助長しようとしている弁護士はいないはずです(いてほしくありません)。
 暴力団員の弁護は,そのような目的ではなく,ひとりの被疑者被告人の権利が不当に侵害されないよう守る目的なのです。
 その点は,どうかご理解いただきたいと思っています。