義務教育では,日本の裁判所は「三審制」を取っており,裁判所の判断を受ける機会が三回ある,と教えられてきたと思います。
 確かに,それは間違いではありません。
 しかし,現実には,ほとんどの事件において,最高裁判所は訴えを受け付けていません。

 というのも,最高裁判所は憲法の解釈に関する判断しか行わないためです。(民事訴訟法312条1項・2項各号)
 もっとも,それだけでは問題がある場合もあるので,重大な事実認定違反がある場合などは,理由不備(民事訴訟法312条2項6号)として審理の対象になる場合もありますし,判例違反や重大な法令違反(民事訴訟法318条1項)が審理の対象になる場合もあります。が,これは稀なケースです。

 ほとんどの事件で問題となるのは,事実認定です。
 世の中,あらゆる出来事に証拠が伴っているわけではありません。
 特定の事実から別の事実を推認することが必要になることもあります。
 その判断は裁判官によって行われるので,「その考え方は間違っている!」と考える人が現れるのも当然です。
 しかし,その異議を受け入れてくれるのは,高等裁判所だけです。最高裁判所は,まず間違いなく,受け入れてくれません(上告そのものに大きな費用はかからないので,やってみるだけやってみてもいいでしょう。弁護士費用は別途かかりますが…)。

 何か事件が起こっても,最高裁なら分かってくれる!
 このように考えている方もいますが,ほとんどの場合において通用しない考え方ですので,よく注意しておく必要があります。